トップメッセージ
第53期(2025年12月期)中間報告
「顧客感動の創出企業へ」を経営ビジョンとして、持続的な成長および企業株式価値向上に向けた挑戦を続けてまいります。
株主の皆様には、日頃より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
第53期( 2025年12月期)中間報告書をお届けするにあたり、
当社グループの業績概要についてご報告申し上げます。
株主様におかれましては、今後もご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
中間期の概要について
当中間期(2025年1月~ 6月)の当社グループを取り巻く経営環境は、為替が不安定に変動する中、引き続き資源価格や物価が高止まりとなり、また米国の関税政策や中東情勢の緊張の高まりなどにより不安定な状況が続きました。こうした状況下にあって、当社グループは光製品や電子機器の新製品普及活動、AVコンソール製品などの販売促進活動を積極的に行うとともに、次世代成長製品と位置付けるITネットワーク関連製品など、新規製品開発に取り組んでまいりました。
国内市場では、放送分野においてNHK放送センター建替工事が佳境を迎え、製品の納入が順調に進みました。電設分野においても、EXPO 2025大阪・関西万博関連案件や、大型スポーツアリーナやスタジアムの新築・改修案件を獲得できたことが、業績に大きく貢献いたしました。その結果、国内売上高は前年同期比7.8%増の32.5億円となり、4期連続の増収となりました。
海外市場においては、米中貿易摩擦や地域紛争といった不安定要因が続く中、大型案件の獲得や着実な販売促進活動の積み重ねにより、全体として前年同期を上回る実績をあげ、さらなる伸長を果たしました。中国市場では、景気減速の影響が続く一方、政府による4K放送対応に向けた放送設備投資支援策の効果もあり、前年同期を上回る売上となりました。また、欧州および中東地域では、安定した需要があり、大型案件を継続して受注しました。一方、米国市場では、売上への影響は限定的であるものの、関税政策の変更により利益面へのネガティブな影響が徐々に現れはじめております。
これらの結果、海外売上高は円安基調継続の恩恵も受け前年同期比6.2%増で過去最高となる31.9億円となりました。
以上により、当中間期は売上高64.5億円(前年同期比7.0%増)、営業利益8.9億円(同39.1%増)、純利益6.4億円(同28.7%増)と増収増益となり、売上高は過去最高となりました。
中間配当金につきましては、当中間期の業績を勘案し、1株当たり28円とさせていただきました。
下半期について
2025年下半期においても、米国の通商政策や関税の動向、米中間の対立激化に加え、中東・東欧地域における地政学的リスクなど、不安定な外部環境が継続すると見込まれます。これらの要因が原材料価格や需要動向に影響を及ぼす可能性があり、引き続きその動向を注視してまいります。このような環境のもと、当社は柔軟な対応力と継続的な業務改善を重視し、変化に強い組織づくりを推進してまいります。国内外の市場ニーズに即応できる体制の強化に加え、今後の成長の柱と位置づけるIT ネットワーク製品の拡販、ソリューションビジネスの拡充、さらに海外市場での販売活動強化を重点課題とし、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
国内市場では、2023年より製品を納入してまいりましたNHK放送センター建替工事が、下半期中に第1期工事の完了を迎える見込みです。音楽ホールや公営競技場などの電設案件においても、引き続き下半期に製品納入を予定しておりますが、来期以降はNHK関連の売上減少を補う新たな市場開拓が課題となります。現在拡販を進めていますITネットワーク製品や、車載・産業分野向け製品がその役割を果たすことが期待されており、下半期も一層の販売拡大に取り組んでまいります。
海外市場では、米国の関税政策への対応が引き続き重要な課題となっております。中国市場は依然として不透明な状況が続くものの、欧州および中東地域では堅調な売上が継続すると見込んでおります。特に、北アフリカのモロッコや中東のサウジアラビアでは、今後開催されるサッカーのワールドカップに向けて、スタジアムの新設および改修工事が進められております。近年の国際的なスポーツ大会では、開催後の施設の利活用を重視し、新規施設の建設を極力抑える傾向が強まっていますが、2034年に開催されるサウジアラビア大会では、使用される全てのスタジアムが新設される予定です。このような計画は、当社にとって重要なビジネスチャンスとなる可能性があります。
こうした取り組みを踏まえた通期の業績見通しについては、2025年1月30日に「2024年12月期決算短信」で公表いたしました業績予想に変更はありません。売上高129.2億円(前期比4.3%増)、営業利益14.3億円(同3.0%増)、純利益10.5億円(同1.1%増)を見込んでおります。なお、期末配当金につきましては29円(年間計57円)を予定しております。
カナレ電気株式会社
代表取締役社長
中島正敬